「定年を迎えて一段落したけれど、これからの人生をどう過ごせばいいだろう?」
「できればいつまでも頭も体もシャキッとして、自分らしく元気に過ごしたい」
そんな思いを抱いている方におすすめしたいのが、高齢者医療の現場で30年以上患者さんと向き合ってきた精神科医・和田秀樹先生の著書『70歳が老化の分かれ道』です。
結論から言うと、「80代以降に元気に過ごせるか、要介護になってしまうか」の9割は70代の過ごし方で決まります。
今回は、書籍のポイントを分かりやすく凝縮し、70代から老いを遅らせて人生の後半戦を最高に楽しむためのヒントをお届けします!

なぜ「70代」が人生最大の分かれ道なのか?
現代の70代は「昔の60代」と同じくらい若い!
かつての70代といえば「おじいちゃん・おばあちゃん」というイメージでしたが、現代の70代は栄養状態の改善や医療の進歩により、昔より10歳以上若返っていると言われています。
アメリカの老年学では、65歳〜75歳頃までの元気な世代を「ヤング・オールド」と呼びます。意欲と健康状態さえ保てていれば、70代の10年間は「現役時代とほぼ変わらない生活ができる最後の活動期」なのです。
80代になると、誰しも「脳の老い」に直面する
しかし、どれだけ身体が元気でも、80代を超えると人間は誰しも「老い」を避けることができません。
特に身体の筋肉や内臓とは異なり、脳の神経細胞は再生しないため、80代・90代になると脳の老化(認知機能の低下やアルツハイマー型の変性)は自然な現象として起こってきます。
だからこそ、体が自由に動き、頭もはっきりしている「70代の10年間」にどれだけ脳と身体の機能を維持する努力ができたかが、80代以降の生活の質(QOL)を大きく左右する「分かれ道」になるのです。
老いを一気に遅らせる「70代の生活習慣 3選」
70代の10年間をいかに過ごすべきか。和田先生が提唱する具体的かつ効果的な「3つの習慣」を紹介します。
① 何事からも「引退」しない
定年退職を機に「もう仕事もやめて、家でごろごろして余生を過ごそう」と一切の活動をやめてしまうのは一気に老け込む典型的なパターンです。
人の意欲や創造性を司る脳の「前頭葉」は、40代頃から徐々に縮み始めます。引退して社会との関わりや頭を使う機会を失うと、前頭葉の萎縮が一気に進み、「何をするのも面倒くさい」という状態に陥ってしまいます。
- アドバイス:定年を迎える前から、「退職後に何をするか(趣味、地域の役員、ボランティア、新しい学びなど)」の準備をしておくことが大切です。
② 老化防止の最高の薬は「仕事(社会参加)」
「いつまでも若々しくいるための最高のアンチエイジング薬」は、実は「仕事や役割を持つこと」です。
これは統計データでも明確に証明されています。
- 長野県:高齢者の就業率が全国トップクラスで、男女ともに平均寿命・健康寿命がトップクラス。1人あたりの医療費も全国最低レベル。
- 沖縄県(男性):かつては長寿のイメージがありましたが、男性高齢者の就業率は全国最低レベルで、平均寿命も30位以下に低迷。
70代・80代での仕事は、現役時代のように「お金稼ぎ」や「成果」だけを求める必要はありません。「人と関わる」「誰かの役に立つ」「感謝される」という社会参加こそが、前頭葉と身体を刺激し続け、若さを保つ最大の秘訣です。

家にひきこもりっぱなしはよくないということですね
③ 長生きしたければ「過度なダイエット」をしない
「メタボ検診で引っかかったから」「少しお腹が出てきたから」と、70代になってから無理な食事制限やダイエットを始めるのは非常に危険です。
宮城県で約5万人を対象に行った大規模調査や、アメリカの長年におよぶ健康調査データでは、「痩せ型の人よりも、少し小太り(ふっくら)気味の人の方が最も長生きする」という結果が出ています。
- 痩せすぎのリスク:タンパク質や栄養が不足すると、筋肉量や骨密度が低下して転倒・寝たきりのリスクが増加。さらに免疫力が落ち、感染症やガンにかかりやすくなります。
70代からは「カロリー制限」よりも、肉や魚などの「タンパク質」をしっかり食べて栄養をつけることを意識しましょう!

無理なダイエットはしない…でも、食べすぎはだめだよ
寿命を縮めないための「賢い医療との付き合い方」
医師は「長生きの専門家」ではない?
意外かもしれませんが、病院の医師は「人を長生きさせる専門家」ではなく、「自分が担当する臓器のスペシャリスト」です。
例えば、数値(コレステロール値や血圧)を基準値通りに下げるために薬を大量に飲むと、特定の臓器には良くても、体全体の免疫力が下がったり、低血圧でフラついて転倒したりと、かえって体全体の健康を損なうケースがあります。
70代からの「良いお医者さん」の見分け方
70代以降の医療で最も重要なのは、「病気や検査数値だけを見るのではなく、患者の『生活の質(QOL)』や『元気に過ごせること』を一番に考えてくれるか」です。
- チェックポイント:処方された薬で体調が悪くなった際、「血圧が下がっているから問題ない」「指示通り飲みなさい」と話を聞いてくれない医師は避けましょう。患者の訴えに耳を傾け、柔軟に薬や治療法を調整してくれる医師を選ぶのが賢明です。
- 相性も大切:会うたびに緊張したり嫌な気分になったりする医師とは、思い切って付き合いを見直すことも自分の健康を守るために必要です。

病院選びは大切だね
まとめ:70代は「ありのままの老い」に備える最高の準備期間!
70代の生き方によって、80代以降の人生はガラリと変わります。
- 何事も引退せず、仕事や社会参加で前頭葉と身体を使い続ける
- 無理なダイエットはやめ、タンパク質をしっかり食べて「少しふっくら」を目指す
- 数値にとらわれすぎず、自分のQOL(生活の質)を大切にしてくれる医師と付き合う
一生老いと戦い続ける必要はありません。いつか訪れる「老い」を受け入れつつも、70代のうちに脳と身体の若さを保つ努力をしておくことで、80代になっても自分らしく、笑顔で元気に過ごせる期間をぐんと伸ばすことができます。
「今日からできること」として、まずは散歩に出かけたり、好きなお肉料理を楽しんだり、新しい趣味の計画を立ててみてはいかがでしょうか?
📚 今回ご紹介した書籍はこちら
『70歳が老化の分かれ道』(和田秀樹 著 / 詩想社新書)


