導入:歴史の難所で見つけた「究極にシンプルな伝統飴」
当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。現代を生きる虚無僧です。
今回取り上げるのは、滋賀県甲賀市・旧東海道の宿場町「土山宿」に伝わる名物「かにが坂飴(蟹ヶ坂飴)」です。
厄除けの社として知られる「田村神社」の参道口で、今も江戸時代から変わらぬ手作業で作られ続けている歴史ある伝統銘菓。レトロで愛嬌のあるカニのイラストパッケージの裏には、鈴鹿峠の歴史を揺るがす壮大な厄除け伝説が秘められていました。



歴史:江戸初期から旅人の疲労を癒やしてきた「鈴鹿峠の糖分補給」
「かにが坂飴」が作られているのは、東海道の難所として旅人に恐れられた「鈴鹿峠」のふもと、土山宿です。
その歴史はきわめて古く、江戸時代の1658年(万治元年)に書かれた浅井了意の紀行文『東海道名所記』にも、この地で飴を煮て売る茶屋の存在が記録されています。
過酷な峠越えを前にした旅人たちが、身体の疲労を急速にリカバリーし、脳に糖分を送り込むためのエネルギー源として愛され続けてきた歴史を持ちます。

脳が糖分をもとめる~
伝説:身丈3mの大蟹が『往生要集』で浄化された「蟹塚」の逸話
この飴の独特な名前には、凄惨かつ神聖な伝承が残されています。
【鈴鹿山麓の大蟹伝説】
その昔、鈴鹿山麓の坂道(かにが坂)に、身の丈3メートルを超える巨大な蟹が現れ、旅人や村人を襲っていた。
これを見かねた恵心院の僧都(恵心僧都源信)がこの地を訪れ、大蟹に対して静かに印を結び、天台宗の教えである『往生要集』を説いて聞かせた。
すると大蟹は感涙し、己の悪行を悟って自らの甲羅を8つに引き裂き、溶けるように消え去ったという。僧都がその跡に「蟹塚」を建てると、蟹の血が固まって8つの琥珀色の飴に変化した。僧都はこの飴を竹の皮に包み、「あらゆる厄災を払い去る飴」として村人に授けた。
なお、史実の観点からは、この「大蟹」とは鈴鹿峠に蔓延っていた凶悪な山賊(盗賊団)の異名であり、それを徳によって解体・改心させた歴史が伝説へと昇華されたという説も有力です。
悪災を払い、人々の平穏へと変換したという厄除けのロジックが、この飴の根底に流れています。

飴をなめて厄を遠ざけよう
信仰:坂上田村麻呂公を祀る「田村神社」との厄除けシナジー
かにが坂飴本舗(丸ふ たかおか)が店を構えるのは、平安時代の征夷大将軍・坂上田村麻呂公を主祭神とする「田村神社」のすぐ目の前です。
田村神社は、田村麻呂公が鈴鹿峠の悪鬼を退治した伝承に由来する、関西屈指の厄除け神社。毎年2月18日を中心に執り行われる「厄除大祭」には全国から参拝者が集まります。
「悪鬼を退治した田村麻呂公の神徳」と「大蟹の厄災を鎮めたかにが坂飴の由来」。どちらも鈴鹿峠を舞台にした強烈な「厄除け」のストーリーで結ばれており、参拝の際にこの飴を買い求めることで厄除けの参拝体験が完成します。
製法:薪火と藁灰で長時間温める「完全手作業の職人技」
かにが坂飴の真骨頂は、工業化された現代において「江戸時代と全く同じ工程」を手作業で守り抜いている点です。
- 1. 薪火での煮詰め: 薪(まき)でおこした強い火を使い、大麦麦芽から作られた水飴を釜土の鍋でじっくり煮詰めます。
- 2. わら灰火鉢での保温: 煮詰まった鍋は、わら灰を敷き詰めた保温用火鉢へ移設。電気やガスを使わず、わら灰の遠赤外線効果で朝から夕方まで適温を維持します。
- 3. 御座(ござ)上での成形: 専用のすくい棒で熱い水飴をすくい上げ、御座の上に落とします。固まりかける一瞬のタイミングを見極め、専用のこてで叩き伸ばしながら成形していきます。
1回の仕込みで扱う水飴は約25kg。かつてはかにが坂周辺の各家庭で作られていた手法ですが、現在この手間暇かかる伝統製法を継承しているのは「丸ふ たかおか」の1軒のみという、きわめて貴重な文化遺産です。
商品ラインナップ:添加物ゼロの純粋な原材料
基本となる原材料は「澱粉(でんぷん)」と「大麦麦芽」のみ。砂糖、着色料、香料、保存料といった添加物は一切排除されています。
| 商品種別 | 内容量/仕様 | 価格(税抜) | 特徴 |
| 竹皮(大) | 32枚入り | 2,200円 | 伝統の竹皮包み。贈答や本格的な厄除けに |
| 竹皮(小) | 8枚入り | 700円 | 手軽な竹皮お試しサイズ |
| 通常包装 | 200g | 1,000円 | 自宅でたっぷり味わうお徳用パック |
| 個包装 | 120g | 1,000円 | 持ち運びやシェアに便利な現代向け仕様 |
| ごま味 | 70g | 700円 | 香ばしい「いりごま」を追加した一品 |
| プレーン | 70g | 700円 | 素朴な大麦麦芽の甘みをダイレクトに楽しむ |
口に含むと、水飴特有のコクのある自然な甘みがじわじわと広がり、現代の人工甘味料に慣れた舌を優しくリセットしてくれます。

添加物なしは安心できますね
入手ルート&メディア実績
店舗・オンライン購入場所
- 公式オンラインショップ: 丸ふ たかおか 公式サイトより直接注文・お取り寄せが可能です。現地に行けなくともWebからスマートに発送手配が完了します。
- 本店(丸ふ たかおか): 滋賀県甲賀市土山町南土山(営業時間 9:00〜17:00/火曜定休)
- 近隣スポット: 「道の駅 あいの土山」や「新名神 新土山サービスエリア」でも取り扱いがあります。
メディア掲載実績
職人の手わざと歴史的価値が高く評価され、近年もNHKを中心にメディア露出が相次いでいます。
- 2023年:NHK『ウィークエンド関西』
- 2025年12月:NHK『あさイチ』
- 2026年2月:NHK『えぇトコ』
まとめ:現代の雑味を削ぎ落とし、350年の伝統を味わう
今回は、滋賀県甲賀市土山宿に伝わる厄除けの伝統飴「かにが坂飴」をご紹介しました。
余計な添加物を削ぎ落とした純粋な原材料と、大蟹の厄災を退治したという力強い歴史ストーリー。田村神社への参拝はもちろん、公式ショップからの注文で手軽に味わう体験は、現代の忙しない生活の中で溜まったノイズを綺麗に払い落としてくれます。
数百年の時を超えて受け継がれる「本物の味」を、ぜひ一度確かめてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

